日本一美味しいと思うピザを食べさせてくれる店【SAVOY】

10年くらい前に友人に連れて行ってもらったピザのお店「SAVOY」。
久しぶりに訪れたが、相変わらず激ウマだったので投稿しよう。

薪で焼くピザを待ちわびる時間

ピザに対して特別な思い入れがあるわけでもなく、ピザ専門店を食べ歩いているわけでもないが、おそらく「SAVOY」は日本一美味しいピザを食べさせる店なのでないかと思う。
そう思ってしまう理由を3つの観点から詳しく説明しよう。

まず、1つ目は、店構えとお店のシステムにある。
お店は六本木ヒルズにほど近い麻布十番にある。こじんまりとしたお店で、大きなピザ窯とカウンターしかない。いや、テーブル席もあるにはあるが、おそろしく狭い。
入った瞬間、「ピザに命かけてるな」と思うような店内構成となっている。

カウンターの前では、ピザ職人の方がピザの生地を伸ばし、具をのせて窯で焼いてくれる。その様子を見るのはなかなか楽しい。

ピザ生地はすでに発酵を終えた状態で、木箱の中にまあるく成型されて保管されている。
そのまあるい生地に必要に応じて霧吹きで水分をかけ、たっぷりの小麦粉の中でグイグイと大きな円形に広げられていく。
映像でよく見る、生地を空中に投げてぐるぐる回して広げるのではなく、大理石の台の上でこねこね広げていくのだ。

広がった生地の上に、トマトソースをたっぷりと乗せ、チーズを乗せ、生のバジルを数枚ちぎって置く。オリーブオイルをたっぷりと回しかけ、塩胡椒をぱらっとしたら、木製のピールにピザ生地を乗せる。
ピザ窯にピザを投入したら、2−3分くらいでマルゲリータが焼きあがる。

この一連の様子をカウンター越しに見守り、自分の食べるピザが焼ける瞬間を間近で見ることになる。
ピザ窯は薪の炎で温められていて、たまに温度を見て薪をくべたりする。
円形のピザがまんべんなく焼けるように適度にくるくる場所を変える。
この待ちわびる時間とピザが完成する瞬間の喜びが、ピザへの思いを最高潮にし、味覚もさることながら、精神的に「美味しい!」となるのだ。

いさぎよいメニューに込められた勝負魂

2つ目の理由はメニュー構成にある。
ピザはたった2種類、あとは酒のつまみ程度のアラカルトメニューが数種類あるだけ。
ほぼピザ専門店と言ってよいお店なのだが、ピザの種類もマルゲリータとマリナーラの2つしかないのだ。

ピザの専門店でよくあるのは、メニューにピザしかないけれど、ピザの種類はものすごい数があるというお店。生地が選べたり、ソースが選べたり、トッピングが選べたり。
そういう「お好みの自分だけのピザが食べられますよ」的なお店とはコンセプトから全く違う。
もう一度言うが「SAVOY」のメニューはピザの王様とも言えるマルゲリータとマリナーラしかない。シンプルなピザの美味しさを追求し、それだけで勝負するしかない。

麻布十番という激戦区において、ピザ専門店という立ち位置ながら、2種類の基本的なピザしか出さない潔さ。他の店と同等の美味しさなら、きっと店は続かないだろう。圧倒的に美味しいからこそ、このピザだけを食べに客がくるのだ。

シンプルな材料で表現する本来のピザの味

3つ目の理由は、生地と具材1つ1つの美味しさ。
例えば、いろんな具材が乗ったピザなら1つくらい手を抜いた具材が入っていても、気づかないかもしれない。
しかし、マルゲリータなら、生地(小麦粉)、トマトソース、チーズ、バジル、オリーブオイルだけ。これだけで、圧倒的な美味しさを表現しなければならない。
シンプルであるがゆえに、具材すべてに手を抜けないし、つくる工程の細部にまでこだわることになるのだろう。

日本食で考えると、玉子かけご飯のようなものかもしれない。
こだわりの米、こだわりの玉子、こだわりの醤油。これらをどの順番で混ぜるか、ご飯の炊き方はどうするか、玉子は生みたてにするとか。
こういった細部の工夫がマルゲリータの中に表現されているのではないかと思う。

「SAVOY」はマルゲリータとマリナーラを食べるためだけの時間を過ごす店なのだ。
ピザが焼ける工程を楽しみ、ひたすら美味しいピザを食べる。いろんな具材や料理を食べるのではなく、厳選された素材を生かした基本のピザ、本来のピザの美味しさを楽しむお店。

いわばラーメン屋的なピザ屋なのかもしれない。
それだけで勝負していて、お客もそれを食べるだけにお店を訪れる。

マルゲリータ1枚に凝縮した美味しさは、日本一じゃないかと思う。

おまけ。
アラカルトで注文したトリッパもおいしかった!

この記事を書いた人

tomoko3

現代のエビデンス社会では認められていない本物の「自然の理」を実践中。
それは、水や光に学ぶことであり、なんにでも応用できる。
室内水光栽培士/結界士