友人から、ユウサミイさんのライブが良かったという話を聞き、音楽に疎い私は、初めて聞く名前だなと思ったのだけど、なんだかピーンと来て、なかなかとれないというチケットが1枚あるよ、と言うので、二つ返事でライブへ行った。
直感は当たるもので、大正解。ユウサミイさんは、未来型完璧ミュージシャンだった。
アットホームなライブ会場でミュージシャン自らお出迎え
まず、ライブ会場が良かった。住宅街にポツンとあり、こんなところにあるの?とちょっとドキドキ。入ってみると本格的だけど小さくてアットホームな場所。
ホールにはすでにサミイさんはスタンバイ済で客をお出迎え。人との接触を極力避けるご時世なので、スタッフはおらず、サミイさんだけでした。一人でなんだってやるミュージシャン!
そして、開演まで、サミイさんがゆるやかに前座(?)をこなすw 観客に呼びかけながら、ギター遊び的な時間。この時点で、あったかい人だというのが伝わり、なんとなくファンになってしまいました。
場づくりの天才
開演時には場は絶好調。場づくりの天才でした。一体感ありすぎて、遅れてきた観客が入りずらそうにしていると、うまく馴染めるよう音楽でもてなす。遅れてきた方も、すでにいる観客も、演者も、ここでまた一つになる。
開演前だけかと思っていた生歌は、最後まで2時間以上続きました。
小さな会場とはいえ、ギターを弾きながら、一人で生歌2時間、観客を魅了するのはすごい。今回は30数名でしたが、多い時は90人は入る会場。マイク使わず、喋り続け、歌い続け、弾き続け。マウスシールドもしているし、息が辛かっただろう。
もともとユウサミイさんという人物を知らなかったのだから、もちろん歌は1曲も知らない。それでも、最初から入り込めて楽しかった。
後から知ったことだが、ミスチルの桜井さんがサミイさんのことを「日本一の弾き語り」と称しているらしい。
本当にその通りで、お一人で弾き語りするライブなのだけど、1曲1曲にストーリーがちゃんとあって、それが自分の中の感情を引き出し、初めて聞いても涙が出てきたり、ほんわか温かい気持ちになった。
時空を超える2時間
最初の1曲目。名前は忘れたけど、「みんなが幸せでありますように」というメッセージがこもった曲だった。
ライブなんてなかなかいけなくなってしまい、日々、多くの人が、いろんなことに神経が過敏になっていて、分断されている気持ちを味わっているから、一発目の、「みんなが幸せでありますように」は、グッときた。
そのあとも、大切な友人の歌、奥様の歌、青春時代の淡い想いの歌、などなど、、、
サミイさんと違う人生を歩んでいても、誰もが、これまでの人生で似たような感情を味わってきているからか、時空を超えて、その感情の地点へ戻れる。
タイムマシンとどこでもドアを自由に操れるミュージシャンだと思った。
CDも売ってるけど、サミイさんの価値は断然ライブだろう。その時間を共有すること、その時間に過去や今、あるいは未来の自分と、感情を味わうこと。
音楽を聴くものではなく、体験するものへ完璧に昇華している。
CDが売れない時代でも、Spotifyとか○○ミュージックで聴き流すのが当たり前になっても、体験を売るミュージシャンは強い。
最後まで一人でこなす、あったかい大地のようなミュージシャン
ライブ後は、はける舞台袖がない会場ということもあり、ちょっと右往左往するサミイさん。
スタッフが一人もおらず、サミイさん一人なので、「椅子は片付けないでね」と観客の気持ちを先回りして注意するサミイさん。
CDを手売りして、サインも書いてくれて、コロナ禍だから握手はごめんね、と気遣うサミイさん。
最後まで、あったかい大地のようなミュージシャンでした。