仕事で必要にかられ、『地政学入門』を読みました。これが予想以上に面白かった!!
今、世界で起こっている問題、日本が抱えている問題は、これまでの歴史を経てできています。その歴史を、とりわけ戦争の歴史を、地政学という観点から、ひも解かれています。”地政学”とは、国や地域が置かれた「地理的条件」から考えてみるという視点で、あらゆる問題や事象を多面的に考察することが大切であると改めて気づかせてもらいました。
時事ネタって、「なぜなんだろう??」って思う事、ありませんか?例えば、ギリシャ危機の際、なぜEU諸国はそこまでギリシャを助けるのだろう?と思っていました。経済的な面から考えると、見放してもおかしくはない。それでもギリシャを助け続けるのは、ドイツやEU諸国が単なるお人よしだったからではなく、地政学的な観点から、ギリシャは要所だったからです。(詳細は読んでくださいね!)読んでみて、ほぉーーーっとうなりました。中国が尖閣諸島や南沙諸島になぜここまでこだわるのか、イスラム圏の混沌とした状況はどうやって形成されたのか、など、今も続く世界的な問題のからくりもわかります。
本の中では、「中国」「ロシア」「ヨーロッパ」「アメリカ」の戦争の歴史を地理的条件からみていくのですが、非常にわかりやすくまとめられています。地理的条件がいかに世界の、地球の発展に関わってきたか、そして、日本はどのような立場に置かれていて、今後どのようにふるまっていけばいいのか、などを考えさせられます。複雑にいろんな国や地域の思惑が絡みあっていて、それぞれの視点から大局的に物事を考えると、今までなぜ?っと思っていたことがするすると解けていく感覚がしました。
最後に、日本の置かれている状況を踏まえた上で、著者が日本のとっていく戦略について熱く語っています。著者の思いはわからなくないですが、あまりに強い主張が読んでいてなんとなく違和感ありました。日本以外の地域については、とても客観的に分析的に感情を絡めずまとめられていたのですが、日本の事になると、どうしても熱くなってしまうのでしょう。読者としては、それまでの客観的考察が面白かったので、最後の最後でちょっと引き気味で読みました。日本国民としては、真剣に考えて自分の意見をしっかり持っていないといけないので、もう少し情報を集めて改めて考えてみよう、と新たな宿題ができました。