カフェの未来を考えて手にした本ーー『ゆっくり、いそげ』

いつかはやってみたいことの1つとしてカフェ経営がある。これは、絶対やりたい!という強い願望ではなく、ふんわりとした甘い綿菓子のような、つかみどころのない物思いというのがふさわしい。自分の夢というところまで昇華しておらず、漠然とした思いとか気まぐれに感じること、と表現するくらいがちょうどいい。これからはこういうことが大切だな、とか、こんな風に生きていくと素敵だろうな、と思いを巡らせていると、それを実現していく手段として、カフェ経営が適切なのではないかと思うことがある。

そんな話をしていたら、ブロガーの友人なみのり工房さんが、熱量たっぷりに1冊の本を勧めてくれた。それは、『ゆっくり、いそげ』という本で、東京の西国分寺駅にある「クルミドコーヒー」というカフェの店主が書いている。

読みはじめてすぐに、すすめてくれた理由がわかった。私がなんとなく語っていたことと、この本に書かれていることが、とても似ているのだ。共感する部分にマーカーを引いたなら、見開きが真っ黄色になるだろうと思うほど、納得できる部分が多い。驚きつつも、似たようなことを考えて実行されている人が存在し、とても嬉しかった。カフェという場所を通して、理想と現実を両立させることを日々実験しているクルミドコーヒー。いまの経済感に対しての理想と現実の両立を、カフェを通して挑戦している。これからのカフェの可能性と役割に対する、思いの深さと思慮深さにも感嘆した。禅問答のように、思いは行ったり来たりしながら、試行錯誤を繰り返している。

経営するということ、カフェという様々な可能性を生み出す場所のあり方、お金というものの考え方、働くということ。そういったことがクルミドコーヒーというフィルターを通して、そのPDCAをまわすことから、どこに至ったのか、これからどこへ向かうのか、まとめられている。

自分で考えていたことは、まだまだ穴だらけの漠然としたものだったから、現実を見ることによって、そう甘くないと大いに勉強になった。そして、相当の思いと覚悟をもって挑戦しなければ、思いを描いている理想的なカフェにはならず、ただの「コーヒーが飲めるだけの場所」になってしまうと思った。たかがカフェ経営、されどカフェ経営。表面的には「コーヒーが飲めるだけの場所」なんだけど、経営、コミュニティ、人の成長、時間、お金、お金では買えない価値観、働く意味、、、いろんな軸で未来へ向かう、交差点のようなものだと思う。

この記事を書いた人

tomoko3

現代のエビデンス社会では認められていない本物の「自然の理」を実践中。
それは、水や光に学ぶことであり、なんにでも応用できる。
室内水光栽培士/結界士