経営者だけでなく全ての人に役に立つ『インパクトカンパニー』

神田昌典氏の本は、95%は読破しているだろう。
文章のタッチも好きだし、世の中や未来を見抜く力には驚かされる。
どの本も素晴らしいが、私が最も刺激を受けたのは『2022―これから10年、活躍できる人の条件』だ。
もう7年前に発刊された書籍なので、今読めば真新しさはない(当時の未来は現在の過去なので)と感じるかもしれないが、当初はとても先見ある内容で完全にハマった。
毎年数冊出版されているが、『インパクトカンパニー』は『2022』以来、今、世の中で起こっていることの背景を、様々な視点からまとめられている本だと思う。

今の世の中、何が起こっているかを解説してくれる

『2022』にも書かれているが、神田さんは70年周期説をよく話題にする。
時代というのは70年で大きく変わり、その変わり目には価値観が逆転し、時代の新しいリーダーが現れて活躍、その後の時流をつくるとか。
今は、この「時代の変わり目」にあたり、2017年ごろからリーダーと呼べる人達が出現してきた、という話から始まる。

約70年前は終戦直後。
言わずもがな、終戦を境に一気に時代はひっくり返った。
英雄が1日にして戦犯となり、人々は物質を求めて、汗水垂らして努力した。
当時のリーダーは、日本を代表するメーカーを創った松下幸之助であり、本田宗一郎や井深大。ふむふむ、その通りだ。
神田さんのこのような考察にはうなづくところばかり。

そして、今は70年前と同じような大変革の時である。
丁寧にこれからのリーダーやこれからの時代感について、述べられている。

現状、世の中が混沌とし、価値観が変わりつつあることは、多くの知見者も述べていることであり、そのように感じている人も多いだろう。
こういう時代だからこそ、世界で何が起こっていて、これからどんな世の中になるのか、経営者でなくとも、きちんと知っておきたい。

インパクトカンパニーとは

本の題名にもなっている「インパクトカンパニー」とは企業としての業績をしっかりと出しながら、社会的な問題を解決するような会社だという。
これからの時代に求められるのは、ただ単に業績だけを追い求めていてはダメで、世の中の命題に立ち向かって活動し、社会的なインパクトを与えられるような会社というわけ。
それは、個人でも同じなのだろうなと、読みながら思った。

ブロックチェーンの可能性にワクワクし、怖くなった

インパクトカンパニーの武器としてブロックチェーンが紹介されている。
ブロックチェーン自体の説明もあるが、ICOを含め、すでにあるサービスや活用事例に驚いた。
詳細は本書を読んでいただきたいが、ぶっ飛ぶ内容で、確かにブロックチェーンによって世の中はひっくり返ると思った。
確かに、これまでの常識が通用しない世の中がくる。
ブロックチェーンと言えば、どうしても金融革命的な領域から脱しない気がしていたが、そんなレベルの話ではない。
国家とか価値観とか、全てがガラッと変わるだろう。
頭の中でよぎったのは、粘土の地球を潰して、こねまくって、またつくりなおすくらいのイメージ。笑

このあたりの話は、知っている人と知らない人の格差が激しくなると思う。
知っていてもオロオロするだけかも知れないが、未来への羅針盤はあるに越したことはない。
世の中に遅れないように、できるだけキャッチアップしておきたいところだ。

ブロッックチェーンの可能性を想像するとワクワクが止まらない。
それと同時に想定外のすごいひっくり返しが起こるのではないか、これまでの価値観が逆転し、自分が今後も世の中に通用する人間としていられるのだろうか、など、得体の知れない恐怖にも駆られる。

内容は知っていることもいくつかあったけれど、やはり、神田さんの考察を通した上で読み解くと、たくさんの気づきを得られた。

新成長事業とは?顧客を創造するには?

後半は神田さんの真骨頂。
具体的な事例をたっぷり出しながら、マーケティング的な観点と経営者的な観点で、これからどういう会社が必要となってくるのかがまとめられている。
経営者向きと判断して、読み飛ばしてしまってはもったいない。

個人の生き様も会社と同じだと思う。特に副業が盛んになるこれからは、一人一人が自分という商品価値の経営者になったつもりでいないといけないのでは、と思うからだ。

デジタルマーケティング、マーケティング・コピーライター、LP、の現状と事例、どこを読んでも本質をついていて面白いなぁ。

会社にとっても個人にとっても、これからの生き方のヒントを探しながら読むことをおすすめする良書だ。

この記事を書いた人

tomoko3

現代のエビデンス社会では認められていない本物の「自然の理」を実践中。
それは、水や光に学ぶことであり、なんにでも応用できる。
室内水光栽培士/結界士